アメリカンまたたび

2018年秋からニューヨーク大学の大学院で留学生教育を勉強する予定。

元留学生の母国でのカルチャーショック vol.1「かわいいに正解があるのが苦痛」はりぼうさん/イギリス大学院卒

今日からブログにて、元正規留学生で、今は日本でカルチャーショックに悩む人にインタビューをする企画をスタートさせます。

カルチャーショックとは、自分が馴染みのある環境から移り住んだときに起こるストレスです。よく外国に引越しをしたときに使われる単語です。カルチャーショックの大きな原因は文化の違いに戸惑ったり、受け入れるのに時間がかかることです。

アメリカ正規留学を終え、日本に帰ってきてから、わたしは母国でのカルチャーショックに悩まされました。そしてわたし以外にも、正規留学を経験した人が日本でカルチャーショックに悩む姿を見てきました。

逆カルチャーショックは、なかなか理解してもらえることが少なく、一人で抱え込んでしまうケースが多いです。

留学前や留学中に関するメディアや記事はたくさんあるけど、留学後にフォーカスするものがないことに気づいたわたし。そこでアメリカンまたたびでは母国での生活での違和感や精神的なストレスを抱えている人にインタビュー。またたびとの対談形式です。みんなどんな文化の違いに悩まされているのでしょうか。

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1回目となる今日は、イギリスの大学院に留学をし、修士号を取得したはりぼうさんにお話を伺いました。

はりぼうさんは4歳から10歳までの6年間をタイで過ごした帰国子女。日本の大学を卒業後に、再び母親が住むタイへ。その後イギリスの大学院に入学し、2017年9月に卒業。今は都内で働いています。

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知らず知らずのうちに、「かわいい」に正解を作り続けている

またたび:今、日本にいて辛いことは何?

はりぼうさん:え、毎日、日本にいるっていう「事実」が辛い。仕事は難しくないし、辛くはない。友達もいるから孤独感を感じることはないんだよね。でも、日本にいるっていうことは私を苦しめている。毎日「あぁ、私は東京にいるな、日本にいるな」って思うんだよね。朝起きた時に、「もう私はイギリスのベッドの上じゃないんだな」感じるたびに、悲しくなってくる。

またたび:それってイギリスじゃなくて、日本国外に行ったら解決できること?

はりぼうさん:例えばタイは、小さい頃に住んでいたから好きじゃない部分もある。長く住むと、辛くなっちゃうんだよね。嫌なところが見えてくるからね。ただ、タイに住むことは、日本にいるよりはマシだと思う。

自分自身、なぜこんなに日本にいるのが辛いのかがよくわかんないんだよね。

またたび:なぜなんだろうね。わたしの場合は、食べ物とか、言葉とか、感覚が合わないとか、そういう面が辛かった。

はりぼうさん:たしかに言葉で辛く感じることはあるかも。日本語は母国語だから、100%理解できちゃうことがストレスになるよね。丁寧な口調でも、この言い回しを言ったらこの人は傷つくかなとかそんなことを考える。

あと人を見かけで判断されるのが辛いね。タイでも日本でもそう。これはきっとアジアの文化なのかなとか思ったりする。外見でしか見られないってことあるなあと思う。

イギリスの大学院にいた時、毎日同じ洋服を着ていても何も言われることがなかったなあって思い出すわ。昨日と同じトレーナーとジーンズでも、誰もそれに触れない。

またたび:イギリス人って他人に興味がないのかな。

はりぼうさん:たぶんそうかも。だからすごく気が楽だった。

またたび:たしかに、日本で昨日と同じ服着ていると「昨日家に帰ってないの?」とか言われるよね。

はりぼうさん:そうそう。あとさ、「その服どこで買ったの?」「これすごいかわいい」とか聞かれるのもすごく面倒に感じちゃう。服装だけじゃなくて、メイクも「今日はちゃんとメイクしてるね!」とか「ノーメイクでも眉毛だけは描きなよ」とか、いちいち突っ込まれたりするのがだるいんだよなあ。

またたび:東京にいると、メイクも服装もちゃんとしなきゃ!っていう強迫観念みたいなのあるよね。

はりぼうさん:日本に限らず、アジアの人は外見コンプレックスって強いのかなあと思うことがある。外見を気にしないといけないことにものすごく疲れる。自分がめっちゃかわいく生まれていたら、日本でもすごい幸せだったのかも。かわいくないといけないっていう暗黙の了解が日本にはあるんじゃないかな。

あと日本には「かわいい」の価値観に正解があるよね。そして正解に近づく努力をしないといけない。ダイエットとか、流行りのメイクとか、ファッションとか。でも実際は、どの人もそれぞれ個性や強みがあるよね。ぽっちゃりだけど、すごく愛らしい人もいる。みんなそんな個性や強みを生かすって考えないのかな。

またたび:たしかに日本のファッション誌を見ていても、「モテファッション」とか「モテメイク」、夏に向けたダイエット企画みたいな特集があって、ああいうのがかわいい・良いとされているところがあるよね。

はりぼうさん:そうそう、それが「正解」な気がしちゃう。

またたび:「正解」に近いほど、女子力が高いとか言って褒め称えるよね。わたしは女子力って言葉が大嫌い。

はりぼうさん:まさにそう!そうやってヒエラルキーができあがっていく。

またたび:わたしはアメリカに行くまでは、その「正解」が当たり前だって思っていた。でも3年以上もアメリカにいたら、「正解」に則って生きなくてもいいやって私は思うようになった。

はりぼうさん:たぶんアメリカでの生活が、またたびさんの価値観に衝撃を与えたんだろうね。私はよく日本で育って、十年も日本で生活していたのに、なんでそんなに馴染めないの?って言われる。たった数年でも異国で暮らしたことが、私たちの価値観に衝撃を与えて、それが母国に馴染めない原因を作っているのかなって思う。そして元には戻れなくなるんだろうね。

またたび:外見を気にする文化って、見た目だけを繕うのとなんか似てない?日本人って上っ面をきれいにするのは得意だけど、本質的なところは何も見えてないというか。

はりぼうさん:それはタイでもあったな。デパートとか行くと、入り口はものすごく豪華なのに、トイレが詰まっていたりとか、すごく汚いとかあった。目立たないところは適当って感じだよね。

またたび:おそらく本質的なことに目を向けると問題が起こるから、それを避けようとしている気がするね。

はりぼうさん:まさにこれも外見を気にする文化なのかもね。

言葉も通じて、便利な生活。快適な環境に物足りなさを感じている

はりぼうさん:日本人として日本で生活するのって本当に恵まれていると思うことがある。ビザの心配もなくて、言葉の壁を感じることもなく、面倒な手続きもない。人種とかで悩むこともない。

またたび:うんうん。たまに大学で海外に出ないほうがよかったんじゃないかなと思う。だけど居心地がよくて、生活する上で何にも悩むことがない環境が、わたしはuncomfortableに感じるんだよね。

はりぼうさん:それはあるね。それはある。

またたび:何も頑張ろうと思えなくない?アメリカにいた頃は、できないことが多すぎたから、頑張らないとやばいっていつも思ってた。だから自然と無意識に頑張ってた。これもカルチャーショックの精神的なストレスになっているのかな。いつも生活をするためにがむしゃらに頑張っていたところから、いきなり何もしなくていいところに飛び込んだから。

はりぼうさん:日本は居心地がよすぎて、もっともがきたいって私も思う。もちろん仕事で給料もっとほしいし、休みも増えたらなって思うけど、こういうことじゃないんだよね。大学院で味わったような、自分っていう人間が変わるくらいのもがき苦しみが、今では恋しい。

英語できなかったけど、できるようになった。人と喋るのが苦手だったけど、得意になったとか。自分の将来にプラスになるような影響だよね。給料が増えても、休みが増えても、それって短期的な喜びでしかない。

またたび:だからもっとチャレンジしようっていう気持ちになりにくいんだよね。

はりぼうさん:毎日がただ無駄に過ぎていく気がして、不安になるよね。今やっていることは、意味があるのかな?って気がしちゃう。大学院は毎日死にたくなるほど辛くて、「やめたい」が口癖だった。でもこれは意味があることだし、頑張ったら自分は変われると思ったから卒業までこぎつけられた。今は何もないからね。

またたび:日本でも頑張っていけるかどうかって、ここでやりがいとか頑張れるものを見つけるしかないのかもね。

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はりぼうさんとは今回「外見」に関する話題で盛り上がりました。イギリスやアメリカで生活することに比べ、外見に対するプレッシャーが日本に住んでいると強く感じることが多いなあと思います。それが知らず知らずのうちに、わたしたちにとってストレスになっていくのかもしれません。

わたしもアメリカにいたとき、田舎だというのもあったかと思いますが、そこまで見た目を気にすることってありませんでした。もちろんパーティやデートのときはメイクしてドレスアップをしますが、普段の生活では髪をきちんととかして、汚くない服を着ていればOKという感じがしていました。ヨガパンツで大学に行くし、常識的な範囲内ならメイクをしなくてもいいかなって感じ。

もちろん日本でもすっぴんとかカジュアルな格好でも直接的に言われることは多くはないですが、変なプレッシャーを感じることがよくあるのですよね。毎日きちんとメイクして、オフィスカジュアルな服を着れば女子力が高いというレッテルを貼られる。

「女子力の高さ」が、今回はりぼうさんと盛り上がった、「女子の正解」ってものに結びつくのかな、なんて考えたりしました。別に服装やメイクに無頓着でも、気にしなければいいっていうツッコミが聞こえてきそうです。ただ、女子力という言葉がある限り、知らず知らずのうちに無頓着の人にもストレスを与えることがあるのかもしれません。

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はりぼうさんのブログはこちら。

letsgotoenglanduni.blogspot.jp

大学院時代のブログ記事もとてもおもしろいです。わたしが特に好きなのは、イギリスの薬の話ですかね。鼻をうがいするって初めて聞いたw

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イギリス留学、イギリスの大学院に興味がある人は必見のブログです。