アメリカンまたたび

2018年秋からニューヨーク大学の大学院で留学生教育を勉強する予定。

元留学生の母国でのカルチャーショック vol.2「日本人は物事の本質を見ない」Ellieさん/アメリカの大学卒

元留学生の皆さんに、留学後の日本でのストレスやカルチャーショックについてインタビューをする企画の第2弾です。みんなが日本でどんなことにストレスを感じるのかについてお聞きします。

今回はアメリカ在住の元留学生のEllieさんにお話を伺いました。

インタビュー第1弾はこちらから。

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Ellieさんは日本の高校を卒業後、すぐに渡米。現地の語学学校に通ったのちに、4年制大学へ進学。大学を卒業したあとは、日本に帰国し、英語の先生として働いていたそうです。そして3年後に結婚を機にアメリカへ移住。現在は現地の企業で働いていらっしゃいます。

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大学を卒業した後の、日本でのカルチャーショックは予想外だった

またたび:Ellieさんは、アメリカの大学に入学をしたときには、ストレスに感じたり、嫌だと思ったことはありましたか?

Ellieさん:私はもともと英語が上手ではない状態でアメリカに行ったので、それはそれは馴染めなくてわからないことだらけでした。だけどカルチャーショックになる覚悟はできていましたね。異文化に行くわけですから、戸惑うのは当然のことです。

またたび:日本に帰ってきてからの逆カルチャーショックはありましたか?

Ellieさん:たくさんありました。大学卒業後に日本に帰ってきたときのカルチャーショックは予想外で、心の準備ができていませんでした。母国に馴染めないなんて、留学中は考えもしませんでした。

彼氏がアメリカにいたので、日本に帰ることはすごく嫌でした。しかしこんなに自分が日本社会にストレスを感じると思っていなかったんです。

日本人って、物事の本質が見えていない人が多い

またたび:日本での生活は、具体的にどんなことがストレスに感じましたか?

Ellieさん:物事の本質が見えていない人が多いところですかね…。まず、見た目の変化をすぐに指摘する人が多い。「太った?」とか普通に聞いてくる人多いじゃないですか。そんな失礼なことを聞くの?と思いました。この距離感がつかめなくて苦労しました。

ここって物事の本質じゃないじゃん…って思っていました。

またたび:これは前回のインタビューではりぼうさんが言っていたことに近いですね。

Ellieさん:そうなんです。だからはりぼうさんの記事を読んだとき、共感しまくりでした。みんな自分のも他人の見た目も気にしすぎですよね。"I'm watching you!"って言われているような気分でした。もうほおっておいてよって感じ。みんな他人のことにズカズカ踏み込みすぎなんです。

またたび:お仕事の経験で、「物事の本質」を感じたことはありましたか?

Ellieさん:私は日本で中高生向けの英語の先生をしていました。仕事で親御さんたちと面談をするんですよね。そこでテストの点数や成績しか見えていない人が多くて、子どもの本質が見えていない親って多いんだなあと思いました。成績が少し下がるだけですごく敏感になる親たち。子どもの得意なものとか、好きなことに目を向けてもいいんじゃない?とは何度も思ったものでした。子どもがかわいそう。

またたび:他人の見た目を気にするのも、テストの点数しか見えていないのも、表面的なことにとらわれすぎってことですよね。

Ellieさん:まさにその通りです。表面的なことしか見えていない人たちは、物事の本質の見方を知っているのかな?見方があることすら知らないのかな?と思います。

またたび:そういう人たちって、自分たちも表面的なところしか見られてこなかったから、そうすることしかできないのかもしれないですね。

東京の人って、心に余裕がない。私はそうはなりたくなかった

Ellieさん:東京でストレスを感じたもののひとつに、電車がありました。

またたび:東京の電車は殺人的ですよ。。

Ellieさん:本当に。特に席取り戦争やばいですよね。電車に入ると途端に、我先にと席を取りに行く人ばかりで、帰国直後はびっくりしました。特に男性にそういう人が多かったのは印象的です。そんなに疲れているの?そんなに心に余裕がないの?って感じですよね。

私はそんな心に余裕がない行為に加わるのが嫌だったので、電車ではいつも立っていました。また電車の中の不愉快な光景を見たり、音が耳に入ってくることも嫌でした。だからオーディブルで洋書を聴いて、自分の世界を作ることに必死でしたね。

またたび:アメリカだと、譲ってくれる人の方が多いですよね。

Ellieさん:私はアメリカでも電車で通勤をしています。毎日電車から降りるときや乗るときはいろんな人が先にどうぞって言ってくれますよ。こうされると、私も譲りたい気持ちになります。心の余裕が違いすぎます。

またたび:心に余裕がないと、他人に厳しくなりますよね。

Ellieさん:電車の話とはまた違いますが、それって仕事のミスに不寛容な人が日本人に多いことにもつながる気がします。仕事のクオリティを高く保つことは大事だけど、誰しもがミスは起こしますよね。そのミスをいつまでもグチグチいう人は少なくない。

心に余裕があれば、「ミスは次に活かそう」という発想になります。しかしそうじゃないと、いつまでもミスを攻め続けるんです。本当に他人に厳しく、自分に甘いです。

英語に触れること、日本でしかできないリラックススポットをよく利用した

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またたび:Ellieさんも日本で多くのストレスを経験してきたんですね。そんなストレスはどのように対処していましたか?

Ellieさん:よく洋書を読みました。働き始めてから英語を読む機会が激減し、英語力が下がることが怖かったんです。そこで『Glass Castle』『Orphan Train』『Into the Wild』などの暗い物語を読んでいました。笑 今はトランプ大統領の暴露本とか犯罪心理学の本を読んでますよ。

またたび:暗い話…?!

Ellieさん:そうなんです。例えば『Into the Wild』って人間がいる世界に順応できなくて苦しむ少年の物語なんです。この本を読んでいた当時の自分とすごいリンクしていますね。私も母国である日本に適応できなくて悩んでいた頃でした。

またたび:英語力の維持は、今、日本に住むわたしにとっても死活問題です。

Ellieさん:日本でただ暮らしているだけだと、英語力って落ちていきますよね。使う機会がないから当然です。

私は帰国直後は、英語に触れるとしたら彼氏とSkypeで話すことしかありませんでした。読んだり、書いたりする時間を意識的に作らないと、英語力は落ちる一方です。幸い、私は英語の本を読む時間は自分の世界に浸れて、心が落ち着きました。

またたび:他にはどんなことをしてストレス発散していましたか?

Ellieさん:岩盤浴やマッサージに通っていました。好きすぎて回数券を買っていたくらいです。日本ってストレス社会だから、ストレス発散するスポットが多いのかなと思います。こういう日本ならではなリラックススポットは活用しまくっていました。

日本在住中に救われた、アメリカ人の存在

Ellieさん:日本独特の考え方とかに悩まされ、辛いことも多かったんですが、そんなときにアメリカ人と関わる機会が多かったのが救われました。

またたび:なにかのコミュニティで関わっていたんですか?

Ellieさん:週末にアメリカ人に日本酒を教える仕事をしていたんです。そこで日本に住むアメリカ人とよく交流していました。

またたび:そんなお仕事があるんですね!面白そう。

Ellieさん:楽しかったですね。そこには日本にきたばかりのアメリカ人もいて、彼らが考えることと、アメリカの大学を卒業したばかりの私が考えることが似ていましたね。お互いに愚痴を言い合ったりすることで、心が楽になりました。

またたび:どんなことに共感できたんですか?

Ellieさん:日本社会が閉鎖的で、他人に寛容さがないところとか。みんな人のこと気にしすぎて、余裕がないから、お互いの首を絞めているようだよねって。こんな些細なことでも愚痴を共有できる人がいるって、精神的に大きいですよね。

今、日本で苦しむ元留学生へ。なんとか日本でサバイブする方法を見つけてほしい

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Ellieさん:多くの元留学生にとって、日本で逆カルチャーショックに悩まされることは予想外だと思います。留学中の一時帰国が楽しかったから、本帰国したらまたあの楽しい日々が続くんだろうと思うものです。

しかし、本帰国すると世界が変わるんです。自分の母国はなにも変わっていないのに、自分が数年のアメリカ生活で変わってしまったからです。わたしは大学時代の5年の間に異文化に影響を受けて、価値観が変わったのでしょう。その変化が自分の一部になるんです。正規留学を経験した人にとって、母国との付き合い方はとても難しい課題です。

今、日本で日本のカルチャーや悪しきしきたりに悩む、元留学生へ。日本にいる間は、なんとか日本で頑張っていけそうな方法を模索してほしいです。アメリカではできないような、日本ならではの楽しむ方法はたくさんあります。好きな日本食を食べまくるのもいいし、温泉に行くのもいい。自分ならではのサバイバル方法を見つけてみてください。

またたび:Ellieさん、今日はありがとうございました!

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今回、Ellieさんがおっしゃっていたことは、わたしが今、リアルタイムに感じることばかりでした。Skypeでインタビューをしながら、ずっとわかるわかる、そういうこと本当によくあると思いっぱなし。共感しまくり。それくらい元留学生が本帰国後の日本で感じることって似ているんだなあと思いました。

違う視点で考えてみれば、元留学生が共通してストレスに感じることこそが、日本のリアルな問題なのかなとおも思います。他人の見た目にズカズカ干渉してくるところとか、他人に厳しいところとか。みんなが人の目を気にしなくなって、他人に変な興味を持たなくなれば、ストレス社会もいくらかはマシになるのかななんて思いました。

 

matatabi