アメリカンまたたび

2018年秋からニューヨーク大学の大学院で留学生教育を勉強する予定。

留学生のカルチャーショック①:カリフォルニアのコミカレからオランダ·ライデン大学に編入したAllyさん

コミュニティカレッジに入学した多くの留学生は、4年制大学への編入をする人が多いです。多くの留学生はアメリカ国内の大学への編入をします。

今回はカリフォルニアの名門大学から合格をもらっていたものの、国外であるオランダの大学へ編入したAllyさんにインタビューをしました。慣れ親しんだアメリカを離れ、オランダで勉強をすることにした理由、そしてオランダで抱える悩みについて聞きました。

Allyさん

2016年の秋にカリフォルニアのシリコンバレーで正規留学をスタートさせ、2018年秋にオランダの名門ライデン大学編入学。専攻は哲学、現在の目標は弁護士になること。

Twitterhttps://twitter.com/Japan__America

ブログ:http://allyryugaku.hatenablog.com/

オランダのUnorganizedな社会や人々の仕事ぶり

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またたび: オランダに来てから数ヶ月がたったと思いますが、今の暮らしで悩んでいることはありますか?

Allyさん:一言で言えば、オランダの”Unorganized”な社会にストレスを感じることが多いです。大学においても、市役所や政府においても。オランダの国民性的に考えてみて、ワークライフバランスがライフに傾きすぎている気がします。

またたび:具体的に言うと、どんなことがあったんですか?

Allyさん:冬休みにアメリカに遊びに行くチケットを購入したんです。その後、いきなり期末試験の日程が、冬休みのど真ん中に変わったんですよ。ヨーロッパに住む人なら、すぐに大学に戻れると思いますが、EU圏外からの留学生の私にとってはオランダに戻るだけでも一苦労です。基本的に私の大学ではEU圏内の人のことしか考えられていないなというのを痛感しますね。

事務作業でわからないことがあるときにメールをしても、3週間くらい放置されるのは日常茶飯事です。市役所で書類を作成したときなども、8週間後にまた来てくださいと放置されたこともありました。

オランダとカリフォルニアの違い - 多様性と国際的な社会

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またたび:オランダには外国人や留学生が少ないのでしょうか。

Allyさん:その通りです。ドイツは難民をはじめとする様々な移民の受け入れが活発ですが、オランダは治安維持のために高度な能力を保持した移民でないと受け入れてくれないというシステムになっています。

雇用に関しては少なくともオランダではEU圏からの人を優先する決まりになっているので、高度な技術を持った移民以外はビザがもらえません。移民は何かと手続きが面倒なので雇用となると日本食レストラン以外はほとんど職はないと言っても過言ではないと思います。

ビジネスや経済がグローバル化の波に乗っていません。国際的な企業が参入しにくい背景もあると思います。例えばオランダにはアマゾンがないんです。 でもオランダは国自体が小さく自給自足ができているので、外からのものはなくても生きていけてるからと言うのもあると思います。

留学生に関して言えば、交換留学で来る人は多いんですが、ヨーロッパ圏外からの正規留学生は特に少ないですね。そのため正規留学生向けのサポートがないんです。大学のシステムそのものもEU圏の人のことしか考えていないというのを日々感じます。

またたび:Allyさんはかつて多様な人種の人がいるカリフォルニアに住んでいたので、そのギャップはすごそうですね…

Allyさん:今考えると、カリフォルニアはとても便利なところだったと思います。移民が多いから、いろいろな国の食べ物へすぐにアクセスできたのも良かったですね。オランダはご飯も美味しくないです…笑

またたび:オランダに行く前は、このような事態に遭遇することは予測できていましたか?

Allyさん:全然できていなかったです。ここに来る前に私が持っていたオランダの印象は、英語を話せる人の割合がとても高い、教育水準も高いなどとポジティブなものでした。これらのことは事実であることには変わりないのですが、EU圏外からの外国人にとってこんなに暮らしにくいとは思いませんでした。

英語水準が高いとはいえ、やはりオランダ語ができないといろいろと障壁があります。例えば銀行のサービスはオランダ語だったので、口座を開設するだけでも一苦労です。クリニックでも問診票の記入がオランダ語でしたね。いちいちGoogle翻訳で英語に置き換えたりしないといけないのが面倒ですね。 ここは仕方がないとこなんですが、事前のリサーチで情報が全く手に入らなかったので意外でした。

先ほどアマゾンがないと言いましたが、オランダ版のアマゾンみたいなのはあるんです。ただそれもオランダ語がわからないといけなくて。オランダ語が使えれば、生活の幅は広がります。

オランダ人やEU圏の人にとっては、いい国だと思います。他の国から来た人からすれば、病みますね。

オランダで友達を作ること - 文化的な違い

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またたび:オランダ人の友達を作ることについてはどうですか?

Allyさん:共通の話題も少ないので、友達作りは大変です。ヨーロッパの人は、ヨーロッパで固まる傾向があります。オランダ人はオランダ語、フランス人はフランス語で会話するので、輪に入れないんです。そしてヨーロッパから出たことがない人が多いので、話が噛み合いません。

ヨーロッパ中心主義的な考えが強い気がします。ヨーロッパに誇りを持つ人が多いです。私たちのことを理解しようとしてくれていても、ヨーロッパから出たことない人が多いから実態をわかってもらえないんですよね。 

またたび:なるほど。友達作りの困難さにはどんな文化の違いがあると思いますか?

Allyさん:オランダ人は個人主義ですね。アメリカもそうなんですけど。一方で日本人は集団社会の文化を持ちます。共通の話題や、普通という共通の認識があります。良くも悪くもオランダは、アメリカほどではないですが、「普通は」がない気がします。

アメリカは個人主義に加えてダイバーシティが豊富なので個人個人がいろんなコミュニティに属していて普通も何もなかったと感じました。個人は個人。個々が信じることが、みんなそれぞれ違うので、特に大学というアカデミックな環境下では共感しづらいんです。

オランダでもアメリカでもそうですが集団の文化を持ちながら、個人主義の文化の人と関わるのは大変だなと感じますね。会話の筋道が立てにくいというか。例えばディベートでも、日本だと妥協点や和解点を探しますが、アメリカだとどっちかを負かすものですからね。集団と個人の違いは友達作りに大きく影響すると思います。

またたび:授業では留学生が不利だと思うことはありますか?

Allyさん:私は現在ヨーロッパ哲学史のクラスを取っています。クラスメイトは私以外EU圏内の人たちなので、みんな高校の時に基礎を勉強しているんですよね。だからこのクラスでは不利になっていると思います。

成績をつけるシステムも決まってて、Aはクラスの数人しか取れません。そしてほとんどがBすら取れない状況です。カリフォルニアのコミカレのときは頑張れば頑張るほど、良い成績、GPAに結びつきました。今は成績優秀なんて無理ですね。

カリフォルニアの生活への未練は…?

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またたび:オランダの生活は学業面でも日常面でもすごく大変そうですが、カリフォルニアに残ればよかったと思うことはありますか?

Allyさん:不思議とそれは思わないんです。オランダには来てよかったし、後悔はしていません。

私はライデン大学だけではなく、UCLAなどのUC数校からの合格ももらっていました。コミカレからUCに行く人は多いです。珍しくもなんともないです。UCLAに行けば、今よりも学業も生活も簡単だったのではないかと思います。

今はヨーロッパに住まないとわからない経験ができています。旅行で行くのと、住むのは本当に違いますね。あのままカリフォルニアにいたら、カリフォルニアの文句ばかり言ってたと思います。カリフォルニアの住みやすさ、そしてなんでみんなアメリカのビザを欲しがるのかがわかりました。

ここまでオランダの愚痴ばかり言ってしまいましたが、オランダはとにかく街並みが綺麗で、嫌なことがあったときでも外に出れば不安も軽減されます。そして私は法学にも興味があるのでオランダのとても進んだ人権の考え方は尊敬します。

国の統治の仕方も自分の国のサイズや性格をきちんと理解した上で統治に成功しているのも本当にすごいと思います。治安は旅行したヨーロッパの中でトップクラスにいいですし、公共交通機関も日本よりすごいと個人的には思います。

ただオランダに住むのは、大学の間の2-3年で十分です。私にとっては一生住むところではないですね。

またたび:大変な状況でもポジティブに考えられるのは、素晴らしいですね。これからもたくさんの困難があると思いますが、頑張ってください!遠くから応援しています。