アメリカンまたたび

2018年秋からニューヨーク大学の大学院で留学生教育を勉強する予定。

元留学生の大学卒業後の心境の変化 vol.2 ダッシュさん〜無職生活で本来の自分を取り戻す

アメリカンまたたびでは、元留学生の皆さんに卒業後の暮らしや、キャリアプランの変化、心境の変化などを聞く連載を始めることにしました。大学から卒業して数ヶ月〜1年もすれば、卒業時に考えていたキャリアや将来と今の考えは大きく異なるもの。そんな元留学生の心境やキャリア、ビジョンの「変化」にフォーカスしたいと思っています。

第2回目のインタビューは、カナダの大学を2016年に卒業し、現在は人材業界で働くダッシュさん。

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2016年6月にカナダの大学を哲学専攻で卒業。その年の10月に基幹システムのサービスを手がけるIT企業に就職し、システムエンジニアとして働き始める。そして2018年の1月初旬に退職。半年後の6月に人材サービスの会社に転職。

Twitter:@soudannist

ダッシュさんは新卒で入った会社を1年3ヶ月で退職したそうですが、その背景にはどんな出来事があったのでしょうか。

就活を一刻も早く終わらせたかった

またたび:就活していたときは、どんな業界とか会社に勤めたいって思ってた?

ダッシュさん:それがあんまりこだわりがなくて。面接とかグループディスカッションとかの就活の雰囲気が嫌いだったなあ。カナダで孤独と戦っていた身としては、同じような年代の日本の大学生と急に集まって馴れ合いをするのも無理だったね。だから早く終わらせたくて仕方なかったし、最初に内定をもらった会社に就職を決めたよ。

またたび:その会社を選んだ理由は?

ダッシュさん:まずお給料がよかった。社風はフレックスだし、日本の会社特有の型にはまった働き方をしなくていいのかなと思ったんだよね。

またたび:じゃああまり将来のキャリアをどうしようとか、そういうことは考えなかった?

ダッシュさん:目先の生活を重視してたから、待遇を見ていたね。離職率が高い会社だっていうことは知っていたけど、まさか自分がこんなに早く辞めるとは思っていなかったよね。

穏やかに働くことができた、新卒初期のころ

またたび:大学を卒業してから、就職するまで半年くらい時間があったと思うけど、その間は何をしてたの?

ダッシュさん:一人暮らしをしないといけないから、家探しで忙しかったなあ。あとは2017年の内定者の集まりに参加させられたりしたよ。

またたび:内定者の集まりっていうと、いかにもな馴れ合い感がするけど…

ダッシュさん:まさにそう。異様にテンション高い人がいて、「これから私はこんな人たちと働かないといけないのか」と、ついていけない感がすごかったね。ただこういう人とつるまなければいいのかと思えるようになってからは、穏やかに過ごせてたよ。

またたび:入社直後は研修があったと思うけど、どんなことを思ってた?

ダッシュさん:研修は与えられた課題をこなすだけの突破型のタイプだった。携帯NGで、作業中は私語禁止。今思うとすごくエクストリームだったと思う。ただ私は大学のときにインターンとかしたことなくて、初めての会社だったから会社ってこんなものなのかなと思ってた。

またたび:ストレスがやばそう。

ダッシュさん:体調はよく崩したよね。ウイルス性の胃腸炎になったり、38度の熱はよく出てたよ。だけど同期に恵まれたから、がんばれる環境はあったと思う。研修の内容も嫌ではなかったかな。

またたび:配属されてからは、どんな感じだったの?

ダッシュさん:配属直後に入ったチームでは比較的穏やかに働けていたと思う。みんなでああでもない、こうでもないって言いながら、夜遅くまで仕事していた。長時間労働が辛いとは思っていなかったよ。文化祭の準備みたいだったのが楽しかったな。

職場の人間関係、そして退職へ

ダッシュさん:転機が起きたのが10月。チーム替えがあったんだよね。

またたび:上司とか同僚が変わったの?

ダッシュさん:そう、ワイシャツの脇がいつも黄色い上司だったな。その人ともう一人の先輩が嫌いだった。上司は会話中でもハンドスピナーを回してて、それにいつもイラッとしてた。

またたび:うわぁ…

ダッシュさん:上司は業務量の振り分けが異様に下手だったよ。

またたび:業務量を振り分けるのが下手な人が上に立つことは、あるあるだよね。

ダッシュさん:私は他の人に比べて業務が多かったことに加え、人によって言うことが違うから出口が見えない仕事にうんざりしてたんだよね。

またたび:人によって言うことが違うっていうのは?

ダッシュさん:例えば、上司に言われた通りに業務をこなしても、他のチームの人から指摘される感じ。逆もしかり。終わりが見えないの。

またたび:なんかもう上司の能力のなさが…

ダッシュさん:飲み会も最悪だった…。前のチームはゆるーく仕事やプライベートの話をするのが心地よかったんだけど、変わってからは強制参加な上に上司の下ネタに付き合わされるという地獄。これが"THE 日本の企業の飲み会"かと思った。仕事がたくさん残っているのに、無理やり切り上げて飲み会に行かされるのもしんどかったよ。

またたび:こういう職場環境が仕事を辞めるきっかけになるよね。

ダッシュさん:それで決定的なきっかけになったのは、2017年の12月の評価だったよ。あんなに仕事を頑張ったのに、こんなに評価が低いのかっていうことが衝撃的で。評価を見た瞬間に辞めようと思った。

またたび:もし上司が変わっていなかったら、辞めていなかったと思う?

ダッシュさん:そう思うね。仕事って環境が一番大事だと痛感したなあ。業務内容はその次。何がしたいかよりも、誰と働くかだと思う。

約半年間の無職生活で、本来の自分を取り戻す

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またたび: 会社を辞めてからはどんな生活をしてた?

ダッシュさん:家でぼーっとしたり、街を散歩したり、実家に帰ったり。何も考えない生活を送ってたよ。会社に入る前の生活に戻そうと思った。働いていた間は自分を見失ってたから、本来の自分に戻るって感じかな。

またたび:そういう時間を作るのは大事だよね。

ダッシュさん:会社を辞めてから一人でいるのが辛かったけど、そんなときに彼氏に救われたよ。私は真面目で心配性、自分のことになるとネガティブなタイプ。彼氏は悪いことがあっても、ポジティブな部分を見つけるのがうまいタイプ。何があっても大丈夫だよって精神面でとても支えてくれた。

またたび:すごくいい人。。

ダッシュさん:貯金がどんどんなくなっていくことが怖かったけど、彼氏がお金がなくなっても俺が働くからって言ってくれたんだよね。もし彼氏がいなかったら変に焦ってしまって、悪循環だったと思う。

何気ない縁で転職に成功

またたび:転職活動を始めたのはいつごろ?

ダッシュさん:2018年の3月ごろから転職系のサイトに登録して、なんとなく求人を見始めたかな。本腰を入れたのは、5月。面接にきた人の夢とか悩みを聞いて、そのサポートがしたいと思ったから人事系の仕事にこだわったよ。

またたび:今の仕事にはどんな感じで出会ったの?

ダッシュさん:別の会社の説明を聞くときに、採用担当としてきていた人が今の会社の人だったの。自分のやりたいことを話したとき、「人事だと不合格を出した人には、その後のサポートができない。それなら人材業界のコンサルタントの方が就活の始めから終わりまでサポートできる」とアドバイスをもらったんだよね。そしてそのままその人の会社、つまり今の会社を紹介してくれた。

またたび:すごい縁だね。就職する決め手になったのは、どんなことだった?

ダッシュさん:社員ひとりひとりと話せたことかな。前職では人で失敗したから、こんな機会があることがよかった。

またたび:前職のときと今の生活を比較してみて、どんな感じ?

ダッシュさん:生活スタイルはすごく変わったよね。前職のときは帰ったら寝るだけで、土日は平日の疲れを取るためだけにあるようなもの。今は家に帰ったらご飯作って、ゲームできて。それでも7〜8時間は寝られるからすごいよね。

またたび:自分の時間があるかないかで、精神的な健康はすごく変わるよね。

ダッシュさん:あと前職のときの仕事のモチベーションは怒りだった。よく怒ってた。丸くなったと思う。「そんなに不機嫌にならなくても」って会社で言われてたしなあ。言葉使いが汚くて親にもよく心配されてたよ。

職場で悩んでいる人へ:追い詰められる前に逃げることが大事

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またたび:今就活中とか、新卒1年目で会社クソとか思っている人がいたら、どんなアドバイスがある?

ダッシュさん:体や心が健康で、部署異動できるチャンスがあれば、その会社で数年はもがいてみてもいいと思うよ。それでも環境が変わらなくて、体を壊しそうなくらい追い詰められているなら転職を検討するべき。

またたび:よく「3年は働かないと」って言うけど、ぶっちゃけこれはどうなの?

ダッシュさん:元気があれば、3年いても良いと思う。もし2ヶ月でポッと辞めたら、またすぐに辞めると思われる可能性が高い。追い詰められていたら、何かが起こる前に逃げるべき。期間は関係ないよ。下手したら一生そのときのトラウマと付き合っていかないといけない可能性があるからね。

またたび:今日はありがとう!